最前列の席から港泰が立ち上がって、魔導警察に食いかかる。
同じくガタッと音を立てた獅紋くんは、心当たりがあるような顔で魔導警察を見た。
私はそちらに顔を向けたついでに、座ったままの翠笑と密かにアイコンタクトを交わす。
今は何もしないで、と。
「先日の傷害事件の再調査をしていまして、お二方には簡単な聞き取りと身体調査をさせていただきます」
「その件ならば、私の婚約者は関わっていないはずですが」
「現場には居合わせずとも、影から関わっていた可能性もありますので」
「類家家の長女を、授業中に、そのような不確かな嫌疑で連行すると?」
港泰がキッパリした態度で言い募ると、数人の魔導警察官と職員を引き連れた男性は黙り込んだ。
「それでは、類家胡桃さんは休み時間に改めてお話を伺いましょう。黒塚瑠璃さんは我々と」



