そう考えていた時、廊下の方が騒がしくなったことに気付いた。
視線を向けたその時、ちょうど教室の後ろの扉が開いて。
「授業中、失礼します。類家胡桃さん、黒塚瑠璃さん。お伺いしたいことがありますので、我々にご同行ください」
「……!」
「え……?」
現れた男性が懐に手を入れ、パカッと開いて見せたのは、魔導警察の手帳。
バクバクバクと、鼓動が一気に速くなった。
どうして魔導警察がここに……!
思わず心の中で叫ぶが、心当たりはいくつかある。
殺し屋蠱惑と対峙したあの日、最初は魔導警察を介入させるつもりなんてなかったから、色々痕跡を残してしまった。
恐らくそれに気付いて……いや。
それならどうして胡桃も?
「類家は私の婚約者です。どのようなお話かお尋ねしても?」



