白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



4人で教室に着くと、既に、窓際の席に獅紋(しもん)くんが座っていた。

自分の席に向かって散らばる私達に気付いたのか、振り返って私を見た獅紋くんは、ホッとしたような様子で立ち上がる。




「黒塚」


「……おはよう、獅紋くん」




言いたいことが、聞きたいことが沢山ある。

そんな顔をして、私の席まで来た獅紋くんに微笑んで応えた。

私の任務と、獅紋くんのことはまだ整理がつけられてないから、歪んだ表情になってしまったかもしれない。


獅紋くんは少し目を見開いて、ぐっと堪えるように眉を八の字にした。




「おはよう。……名前で、呼んでもいいか?」


「うん……獅紋くんには、名前で呼んで欲しい」




獅紋くんに抱いているのは、恋情と愛情が半分ずつ。

昔の気持ちが、記憶と一緒に蘇ったような感覚だけど、昔のように純粋な気持ちは持てない。