Ｓｉｄｅ：白蓬(はくほう)李璃(りり)（氷霞・黒塚瑠璃）


昔の記憶を思い出した翌日、私は学校を休んで、記憶と意識の整理に１日を費やした。


翠笑(すいしょう)が傍にいてくれたおかげか、殺し屋氷霞(ひょうか)として生きてきた“私”が消えることはなく、白蓬(はくほう)李璃(りり)として生きた“わたし”もまた、消えることはなかった。



私が拒絶したところで、幼い頃の生活は無かったことにならない。

わたしが拒絶したところで、沢山の人を殺してきた事実は変わらない。


だから、時間をかけて記憶と向き合って、どんなに辛くたって、苦しくたって、全てを受け入れて、飲み込んだ。



私の本名は、白蓬李璃だ。

６歳までは普通に暮らし、両親が殺されたあの事件をきっかけに記憶を失って、ボスに拾われた。