白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「♪恐ろしい記憶は一旦忘れて 楽しい記憶は一旦忘れて」




私が先に起きて挨拶すると、翠笑は顔を赤くしてしばらく固まってたな。




「♪さぁ、闇に落ちていけ 光がお前を迎えてくれる」




苦しいことも多いけど、翠笑と家にいる時間は幸せで。

ボスと翠笑と私、3人でずっと一緒にいられたらいいのに……。




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『ん……ぅ……?』




目が覚めたら、見知らぬ家の中にいた。


わたしはどうしてここにいるんだろう?




『起きたか? お嬢ちゃん。行き倒れていたから、ひとまず家に連れて来たんだが……』




男の人の声がして起き上がると、黒いスーツに黒いシルクハット、黒いサングラスをかけた、赤茶色の髪の“おじさま”がいた。