6歳まで、温かい世界にいたのは、本当なんだ。
「……ねぇ、氷霞ちゃん……ベッドに、横になろう? 突然思い出したから、今は混乱してるんだ。1回寝て、記憶が整理できたら、落ち着いて考えられるよ」
「で、も……寝たら、私が消えちゃう……!」
「大丈夫だよ。僕がずっと抱き締めてるから。氷霞ちゃんは消えない」
「すい、しょう……」
ぎゅうっと抱き締め返されて、ホッとする。
この腕の中なら、私を保っていられる気がする。
頭がぐちゃぐちゃなまま寝られるか分からないけど、意識を手放して楽になりたい。
「さ、ベッドの上に行こう?」
「うん……、……やだ。離れたくない……」
「……じゃあ、僕が運ぶね。しっかり掴まってて」
翠笑に抱き着いたまま動かずにいると、体がふわりと浮いた。



