「うん……私……本当は、白蓬李璃で……思い出したの、全部……獅紋のことも、両親のことも……」


「そっか……」


「温かかった……愛されてた……昔の記憶は、全部眩しくて……苦しいの……“わたし”、こんなに汚れちゃった……!」




わたしは、人殺しなんて受け入れられない。

過去の罪を、背負えない。


私は、愛されていたことを受け入れられない。

自分もかつては温かい世界にいたなんて、認めることができない。



だって、分かってしまったら、お父様とお母様を殺した人と同じになる。

分かってしまったら、お父様とお母様を殺された苦しみをありありと感じてしまう。




「大丈夫だよ……僕も一緒に感じるから。いつもみたいに、分け合おう?」




優しい声と共に、肩に翠笑の手が触れる感覚がする。

わたしは思わず、その手を払って翠笑と距離を取った。