「分かったから、そういうのはいい」
「はぁ~い……」
項垂れる翠笑を半目で見て、獅紋が来るまで淡々と時間を過ごした。
4時間目の直前に教室に来た獅紋は、1時間分の授業を受けた後、真っ直ぐ私の席に向かって来る。
翠笑は机の上を片付けながらチラ、と振り向いて、今日も一緒に食堂に行く予定の胡桃は、席を立ってこちらに来ようとしていた。
「黒塚。少し時間をくれるか? 2人で話がしたい」
「……分かった。中庭でいい?」
「あぁ」
獅紋はいつもより落ち着いた様子で頷く。
胡桃に視線を向けると、何も言っていないのに、“分かりました”と言うように微笑んで手を振られた。
察しのいい友達に微妙な気持ちになりつつ、獅紋と2人で教室を出る間際、翠笑にアイコンタクトを送る。



