「それじゃあ、夜唄の調査の結果は?」
翠笑……楼燕夜唄が苦手らしい胡桃は、私が翠笑といると近寄って来ないので、教室でしれっと尋ねる。
昨晩は珍しく私の部屋に来なかったので、白蓬李璃が失踪したきっかけの事件について、話を聞けていないのだ。
翠笑は私の席の横まで自分のイスを持ってきて座りながら、「あ~」とあまりパッとしない様子で答える。
「それが、昔のことだからよく分からなかったんだよね~」
「そう……ちなみにどこで調べたの?」
「ん? え~っと……秘密の家?」
「……」
明らかに今考えた嘘だ。
私に言いたくない情報源なら、そう言えば深くは聞かないのに、と溜息を吐く。
「あ、今呆れた? 違うんだよ~、瑠璃ちゃんには恥ずかしくて言えない場所なんだ」