ボスは私の目を見ると、ニッコリ笑う。
「いいよ! それじゃあ、ちゃんとおしごとをやりとげたら、ぎゅーってだきしめて、あいしてるっていってあげる」
「! うん……必ず、任務を遂行する」
改めて意志を固めると、ボスは人差し指を離して、ニコニコ笑った。
「ぼくも、かわいいむすめとふれあいたいから、ほうこくをたのしみにしてるね。それじゃあ、ばいばい」
「あ……」
ボスは小さな手を振って、いつものように姿を消してしまった。
私はしばらく寂しさに浸って、胡桃が不在に気付く前に早く寮に戻ろう、と立ち上がる。
そういえば、あの人差し指……何の意味があったんだろう。