「ひょうかおねーちゃん、おつかれさま」
「っ!」
正面から聞こえた幼い声に、後ずさって目を開けると、黒い髪に銀色の瞳をした5、6歳くらいの男の子がニコニコ笑って立っていた。
反射的に吹雪を纏うと、男の子がパン、と手を叩いて吹雪が消される。
私の知る限り、こんなことができるのはたった1人しかいない。
「ボ、ス……?」
「うん! きづけてえらいね。おいで、おねーちゃん」
無邪気に手招きされて、大人しく男の子……ボスの前に行き、膝をついた。
背伸びをして、小さな手で頭を撫でられると、心が満たされて目を細める。
これがボスの……千化の変化。
年齢も性別も、体格も美醜も思いのままに、千に姿を変えられる。



