「……見つけた」
ボソッと呟き、“仕事”に向けて気持ちを切り替えると、ここから狙撃する為に、氷のレンズを幾重にも重ねて作り出す。
昔は氷魔法の加減が下手で、寒さ対策にマフラーを巻いていたな、と不意に思い出して自分の成長を感じた。
何枚ものレンズを通して、ターゲットの顔がハッキリ見えるようになると、氷の弾を作り出し、こめかみに照準を合わせる。
「……」
どく、どく、と鼓動が速くなる。
いざ氷の弾を発射しようとすると、手が震えてきて、ぐっと拳を握った。
どうしてこんな時に、胡桃や獅紋の顔が思い浮かぶのか。
『瑠璃さま』
笑顔で私を呼ぶ胡桃。
『犯罪者なんて……』
押し殺すような声で吐き出した獅紋。