白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



今更自分の罪を否定する気は無いけど、その“もしも”は心に重くのしかかる。


今までどれだけの人間を殺してきた?

罪の無い人間はどれほどいた?

罪のある人間の方が少なかったのでは無いか?


考えれば考えるほど、深く闇に沈んでいく。




「その、手……」


「ぇ……?」




暗い思考に没頭していた私は、獅紋の声を聞いて、ハッと顔を上げた。

見ると、獅紋は膝を抱える私の手を、信じられないような顔で凝視している。




「それ……癖、なのか?」




少し震えた声で聞かれて、自分の両手を見る。

膝を抱えて、腕を組むような形で……何の変哲もないけど、と考えた時、左手が人差し指と親指を擦るような形で止まっていることに気付いた。