「……獅紋は、殺し屋に狙われてたんだよね。人から恨みを買ったこと、あるの?」
「……あるには、あるだろうな。俺に罪を暴かれた人間とか……李璃を死んだことにして、白蓬家を乗っ取りたい人間とか」
「それって……逆恨み?」
「あぁ。6歳の、あの時から……俺は李璃を助ける為に生きてきたようなものだ。他人の恨みを買っている暇なんて無い」
どんな答えを期待してたのか、自分でも分からない。
それでも、人からの恨みと尋ねて、逆恨みしか出てこないのは、獅紋らしいと思った。
きっと、認めるしかない。
獅紋は人に死を望まれるような……罪を犯した人間では無く、獅紋の死を望む人間こそが、罪深いのだと。
今まで殺してきた人達の中にも、そんな人がいたのだろうか。
ただ逆恨みで死を望まれた、善良な人間が……。



