「タトゥー? そんなの、入れてないけど」
「でも、一昨日……舌にドクロのようなマークがあったが」
「……女子の舌を勝手に見たの?」
口元を隠しながらじーっと獅紋を見る。
紳士的な男子は、ぐ、と動揺して目を逸らした。
「それは……すまなかった」
素直に謝る獅紋に、言い訳しないんだ、と感心した。
私が獅紋を翠笑と間違えて舌を出してしまっただけなのに。
私達の舌に刻まれたドクロは、魔法で隠したりすることができない。
ドクロを描いている墨自体に、そういう効果があるから。
「冗談。舌にタトゥーなんて普通入れない。獅紋の見間違いじゃない?」
「それは……いや。分かった」
獅紋は何か言いたげな顔をして、追求を諦めた。



