「……黒塚(くろづか)は、どうしてあいつが偽物だって分かったんだ? それに、李璃(りり)を騙っていることをいつ知った?」




獅紋(しもん)を慰めた後、距離を取り直して座った私は、沈黙が続いた後にそう聞かれて、視線を逸らした。




「植物園で……。あの時、胡桃(くるみ)と忘れ物を取りに行ってて。獅紋達が入って来たから、思わず隠れたの。会話は聞こえなかったけど……獅紋の顔で何となく」


「……あそこに、いたのか? どうして隠れたんだ」




眉根を寄せる獅紋に問われて、あらかじめ用意していた言い訳を口にする。

今回の件、獅紋からも話を聞かれるだろうと、昨日のうちに嘘を考えておいてよかった。




「人気の無い場所に、2人で来たから……告白でもするのかと思って」


「……そう、か」




獅紋は微妙な顔をして、ひとまず納得したようだ。