どれくらいの時間が過ぎたか、獅紋が落ち着いた声でそう言って、体を離す。
顔を覗き込んで頬に触れると、少し湿った感触がした。
「楽に、なった？」
「……あぁ」
心配して聞くと、獅紋は私と目を合わせて、ふっと微笑む。
何を思っての表情か、分からないけど……また、心の奥底に沈んだものが反応したように、心臓が弱々しく音を立てた。
とくん、と。
「……獅紋の笑顔を見ると、心臓がおかしくなる」
「……それは……」
不思議な感覚に胸を押さえながら、先程の位置に戻って座り直す。
獅紋は目を逸らしてしまったけど、答えを求めていたわけではないので、特に気にせず、気を取り直した。
