類家胡桃から聞き出した時間割とやらに沿って、鞄に必要な教材を詰め、私室を出る。
任務の期限は1ヶ月だけど、学園に潜入するのは3月までだ。
後々のことを考えると、ターゲット以外の生徒ともそれなりに関係を築いておく必要がある。
ルームメイトは、その最たる相手。
「先に言っておく。私は笑うのが得意じゃない。誰に対してもこんな感じだから、緊張しなくていい」
「え?」
「ルームメイトとは仲良くしたい。その意思があることは、覚えておいて」
「……」
目を丸くする類家胡桃を、じっくり観察した。
彼女は容姿が整っている。
おどおどした態度から、気弱で大人しい印象を受けるが、芯が無いと言うには、受け答えがハッキリしている気がする。
パッと見て目につくのは、大きい胸だ。
……動きにくそうな。
一言でまとめるなら、可愛らしい女の子、と言うのが適当だろう。



