白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「……黒塚?」


「ごめん。私、こういう慰め方しか、分からなくて……人の体温感じると、落ち着くから。もう少し、触れてもいい?」




私と一定の距離を保っている獅紋に、スキンシップは難しいかな、と手を引く。

だけど、獅紋は俯いて、力無く頷いた。


いつも、翠笑を慰めるように、そして慰められるように。

獅紋に近付いて膝立ちになると、伸ばした足の間に片足を入れて、獅紋の頭と背中を、抱き寄せる。




「いつか、報われる日が来るから……大丈夫だよ。獅紋がそれだけ想ってるなら、白蓬李璃だって、きっと獅紋を待ってるから」




獅紋に未来なんて無いのに、無責任な言葉だ。

でも、私を突き放せないほど弱っている獅紋が、少しでも楽になれるなら……嘘でもいい。


私の腕の中で大人しくしていた獅紋は、やがてぽつり、ぽつりと思いを吐き出した。