何て声を掛けたらいいのか分からなくて、若干不自然な出だしになってしまった。
恋愛のことなんて分からない。
いつかのように、獅紋から少し離れて地面に腰を下ろすと、膝を抱えて……口を開く。
「魔法、解けたって聞いた……一昨日のこと、怒ってる?」
「……傷害は、立派な罪だ。相手が誰であろうと。……でも、俺の為に行動してくれたその気持ちまで、否定する気は無い。……ありがとう」
潔白な正義感を持つ獅紋だから、あるいは許してくれないかもしれない、と思っていた。
それがまさか、お礼を言われるなんて。
善意じゃないのに、と少し胸が苦しくなる。
「お礼なんて、必要無い」
「……それ、前も言っていたな」
「……そう、だっけ?」
「あぁ。李璃を探すのに、付き合ってくれた時」
「……そ、っか。そうだった……」



