白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



魔力の譲渡は、血の滲む訓練が必要な技術だ。

人にはそれぞれ魔力の波長があって、異なる波長の魔力を体内に取り込むと、体が拒絶反応を起こす。


僕達も最初は血を吐いたり、数日寝込んだりしたけど、訓練をしたおかげで、お互いに魔力を交換できるようになった。

それが舌と舌の接触で……というのは、大分思うところがあるけど。



ボスはきっと、僕の気持ちを知っていて、わざとこの方法での魔力供給を教えたんだ。

氷霞ちゃんは真面目すぎるから、恋愛なんてできないのに。


絶対に実らない、実らせちゃいけない恋心を抱えて、好きな子とキスをするのは、本当に複雑だ。




「ん……すい、しょう……?」


「うん、僕だよ。体はどう?」


「……も、っと……」


「……分かった」




弱々しく求められて、必死に自制しながらもう少し魔力を渡す。

これはただの救命行為なのに……ドキドキしてしまうことに、罪悪感を抱いた。