白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



私服でもズボンが多いし、生まれてこの方学生服なんて着たことがないから、これが普通なのかも分からない。

職業柄、2つ3つは暗器を忍ばせておきたいのだけど、この調子ではスカートの中に、というのは断念するしかないようだ。


床に脱ぎ捨てた服の中から暗器を回収して、両の袖口と腰に忍ばせる。


これは魔法が使えない万が一の状況に備えたもので、訓練の時以外使ったことは無い。

それでも、今は無いと落ち着かない体の一部だ。




胡桃(くるみ)。今日必要な教材、教えて欲しい」


「へっ? あ、はい! えぇと、今日の時間割は……」




私室の扉を開けて共同部分、リビングにいる類家(るいけ)胡桃(くるみ)に声を掛けると、何故か驚かれたようだ。

何が悪かったのかも分からない。


一般人に紛れるのは難しい。