聞こえているのかいないのか、黒塚は口を開き、舌を出す。
その行為について何か思う前に、舌に刻まれたタトゥーのようなものに気付いて、それに意識を向けた。
これは、ドクロ……?
「獅紋! 瑠璃ちゃんは、僕が保健室に運ぶよ。獅紋はあの子が逃げないように見張ってて? 多分もう動けないと思うけど、気をつけてね」
「あ、あぁ……」
肩を叩かれて顔を上げると、夜唄が嘘くさい笑顔を浮かべたまま、そう言う。
そういえば夜唄は黒塚が好きなんだった、と思い出して、言われた通り黒塚は任せることにした。
あのドクロは一体何だったのか。
黒塚はどこで、あの女子生徒が李璃を騙っていることを知ったのか、そして何故偽物だと分かったのか。
魔導警察が到着するまで、俺はその謎に気を取られて、李璃は未だ行方不明のまま、ということに意識が向かなかった。



