白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





瑠璃(るり)ちゃんっ!」




上の方から聞こえた声に、顔を上げて夜唄(ようた)を見つけると、その視線の先にいる黒塚に目を戻す。

すると、黒塚はふらりと地面に倒れ込んでいた。




「あぁぁっ!」




今度は女子の悲鳴が聞こえて、視界の妨げになっている土の壁を消す。

そこには、炎の蛇に巻き付かれて服に火が燃え移っている女子生徒がいた。


彼女の頭上から水をかけて蛇諸共消火すると、その手首に手錠をかけて黒塚に駆け寄る。




「黒塚、黒塚!」




肩を揺すって声を掛けると、黒塚は薄く目を開き、僅かに手を動かす。

カチャ、と音を立てる手錠を消し、その手を取ると、微かに力が入った。




「黒塚、聞こえるか?」


「……」