白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





白蓬(はくほう)李璃(りり)が好きなら、偽物に騙されるな!』




表情が変わらない黒塚が、珍しく必死の形相で叫んだ言葉を思い出す。


黒塚が言っていたことは正しかった。

魔法で攻撃するのは行き過ぎだが、黒塚はあの女子生徒の企みを阻止しようとしているのだろう。


それなら、今度は“ちゃんと”仲裁しないと。



火の檻は思ったより頑丈で、壊すのに時間が掛かった。

自由に動けるようになった時には、黒塚も女子生徒もボロボロで、お互い睨み合っていて。




「お子様は大人しくおねんねしてなさい!」




李璃を騙っていた女子生徒の声が聞こえて、黒塚に水の波が迫るのが見えた。

黒塚は動けないようだったので、代わりに土の壁を作り、波を阻止する。