最後に翠笑の声が聞こえたような気がするのは、気のせいだろうか。

魔力が枯渇して体が重く、怠くなった私は、蠱惑にかけられた睡眠魔法の効果もあり、ふらりと地面に倒れ込んだ。


意識が朦朧として、眠ってしまったのか、まだ起きているのか分からない。

何だか周りが騒がしいような気もするけど、音がハッキリ聞こえなくて……。




「――、――!」




誰かに、呼びかけられているような気がする。

体が揺さぶられて、あぁ、まだ意識があるのか、と重い重い腕を動かした。




「――、―――――?」




声は上手く聞き取れないけど、持ち上げた私の手を優しく受け止めるこの熱は、きっと翠笑のものだ。


呼びかけているのが翠笑なら、魔力を分けて欲しい。

そう思って、ゆっくり口を開き、舌を出した。


だけど、それ以上意識を保っていられなくて――……。