炎の波で蠱惑(こわく)を飲み込もうとすると、水の壁で防がれる。

向こうが水魔法で竜巻を破ろうとしてくると、火で蒸発させて風の刃を返した。




「お子様のくせに、やるじゃないの……っ!」


「くっ……」




蠱惑にはかなりの傷をつけて追い込んだけど、私の魔力も底をつきかけている。


火の檻を維持する分の魔力が無くなって、魔法が破られた気配がすると、奥歯を噛んで翠笑がいた2階の窓に水の玉を飛ばした。

私の代わりに、翠笑が起きてくれれば……。




「お子様は大人しくおねんねしてなさい!」




蠱惑が私に手のひらを向け、大量の水が迫ってくる。

私は最後の力を振り絞るつもりで魔力をかき集め、ターゲットを追尾する炎の蛇を彼女の死角に放った。




「瑠璃ちゃんっ!」