白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「蠱惑、あなたに獅紋は殺させない」


「そんな……私は入月織江で、蠱惑なんて名前じゃ……!」




言いながら、蠱惑は隠蔽魔法を使って何か仕掛けようとしてくる。

先程までと同じく、体の周りを取り巻く竜巻で自分と獅紋を毒魔法から守ると、蠱惑に火の弾を連射して、不可視の風の弾を紛れ込ませた。




「くっ、この……っ!」


「演技の為に攻撃を食らうなんてご苦労様。急所は外してても、ダメージは大きいんじゃない?」


「あら、あなたこそ、彼を守りながらいつまで戦えるかしら?」




接近して足技での肉弾戦も交えると、蠱惑は声を潜めて言い返してくる。


確かに、いくつもの魔法を同時に発動しているから魔力消費が速い。

私の内包魔力量はかなり多いけど、回復はそこまで速くないから、早めに終わらせないと。