「やっと意味が分かった。獅紋にかけてる魅了の魔法を強めれば、獅紋はあなたのことを思い出して、あなたを探しに来る」
「ど、どういうことですか……?」
蠱惑はそう言いながら、一瞬ニヤッと笑った。
どうやら正解らしい。
翠笑は、突然動き出した獅紋を止めきれず、後を追ってくることになったのだろう。
魔法にかかっているなら、獅紋を言葉で説得するのは無理だ。
ここは実力行使で大人しくさせて、蠱惑を無力化しなければ。
「獅紋、私が犯人でいい、魔導警察を呼んで」
「は……? 何を……」
「早く通報して。じゃないと白蓬李璃に攻撃するから」
蠱惑から引き離し、後ろに庇った獅紋に小声でそう言うと、火の檻で獅紋を閉じこめる。
「おい! 黒塚!」と後ろから聞こえてくる声は無視して、抗う獅紋に檻を壊されないよう魔力をたっぷり注いで魔法を維持した。



