白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



いつか見た、鉱物魔法。

この腕にかけられたら死を意味する手錠だ。


体の芯がヒヤッとするけど、今はこれを恐れている場合じゃない。




「そんなことはどうでもいい! 私のことだって見間違えたくせに、あなたの婚約者への想いはその程度なの!? 白蓬李璃が好きなら、偽物に騙されるな!」


「っ……!」




獅紋が動揺を見せてホッとすると、また隠蔽魔法を感知する。

今度は竜巻で自分と獅紋を守りながら、獅紋に駆け寄って手を引いた。




「なっ……!?」




強引に蠱惑と引き離した時、2人の間から甘い匂いがして、1つの魔法を思い出す。



毒属性、魅了の魔法。

脳の一部の機能を活性化させ、幻覚を見せて相手の心を惑わす魔法だ。


これのせいで、獅紋は蠱惑を白蓬李璃だと信じ込んでるのか……。