ぐっと拳を握って考えていると、また隠蔽魔法を感知して、咄嗟に私と獅紋の周りに風を吹かせた。
蠱惑がいつ“仕事”をするか分からない以上、獅紋が毒魔法を食らわないように守らないと。
「俺にも攻撃するか」
「っ、違う! 獅紋、その人から離れて! じゃないとあなたが……っ」
「私を1人にしないで、獅紋くん……!」
「あぁ。大丈夫、俺が守るから」
獅紋は私を見据えたまま、蠱惑を庇うように左腕を開く。
このままじゃ埒があかない。
「獅紋! 後ろの人をよく見て、その人は髪と目の色が同じだけ。似顔絵とは似てないでしょ!」
「彼女は李璃じゃないと、何度言えば分かる? この件は通報させてもらう。大人しくしろ」
獅紋が私に手のひらを向けると、手首に冷たい感触がして、両手が体の前に引っ張られた。



