白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





李璃(りり)!」


「獅紋くん、たすけ……っ!」


「なっ……!」




一切の防御をせず、急所を外した私の攻撃を受けきった蠱惑(こわく)は、潤んだ青い瞳で獅紋を見上げる。


彼女の意図に気付くと同時に、魔力反応を露わに現れた水が、蠱惑の燃える服を消火した。

その魔法を発動した人物は、風魔法で衝撃を和らげながら飛び降り、私と蠱惑の間に着地する。




「獅紋! 瑠璃(るり)ちゃん!」




頭上から再び聞こえた声に視線を向けると、近くで隠蔽魔法を感知した。

獅紋と同様に、こちらを見下ろしていた翠笑(すいしょう)は、窓枠に手をついてふらふらと倒れ込むように姿を消してしまう。


これは、蠱惑の毒魔法……!




黒塚(くろづか)。これは一体どういうつもりだ」


「っ……獅紋……」