毒魔法は、対象の体に触れるか、気体を吸わせるか、液体を飲ませるかの3種類の使い方がある。
私は蠱惑に触れられても、何かを口にしてもいないので、先程は睡眠効果のある気体を吸ってしまったのだろう。
タネが分かれば、対策もできる。
蠱惑はぎょっとした顔のまま私の左腕を見て、自分の体を抱き締めた。
「うわぁ……たまにいるのよねぇ、とんでもないやり方であたしの魔法に抗うやつ。せっかく眠らせるだけにしてあげようと思ったのに……」
「気遣いはいらない。横取りは許すなっていうのがボスの命令。獅紋は私が殺すから」
暗器を袖口に仕舞い直して言うと、蠱惑は真面目な顔に変わる。
「そう……それじゃ、こういうのはどうかしら?」
微笑んでパチンと指を鳴らした蠱惑を見て、竜巻を纏った。