「怖い怖い、火傷したら跡が残るじゃない。だけど、氷霞ちゃん……だったかしら? 随分と甘い魔法を使うのね」
「ターゲット以外、殺す気は無い。これでもまだ引かないなら……次は容赦しないけど」
「ふふっ、力比べ、してみる? でもあたし、搦手の方が得意なの」
ふわりと優雅に着地した蠱惑に、次の攻撃をしようとして……ぐん、と体が重くなった。
「な……に……?」
「あの時、ヒヤヒヤしたのよ。白蓬李璃? って聞かれた上に、毒属性の教本、なんて言い出すんだもの。あたしが毒魔法の使い手だって、どうして分かったのかしら?」
「ど、く……?」
体が重い。
いや、猛烈に眠い。
何とか立っていられるけど、一度でも目を閉じれば、意識を手放してしまいそうだ。
毒魔法。
いつの間に、受けてしまったのだろう。



