白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「えぇ。一度受けた依頼だもの。ターゲットはとっくに魅了してるし、後を任せるのがお子様じゃ、ねぇ?」


「分かった。それなら、力づくで引かせる」




ふぅ、と息を吐いて、蠱惑(こわく)を取り囲むように火柱を出現させた。

潜入中だから氷魔法は使えないけど、火と風の2種類が使えるなら充分。




「あら、大胆。だけど残念、火じゃ相性が悪いわ」




パチンと指を鳴らす音がして、私の火柱が水に飲み込まれる。

これは想定内。




「相性が悪いかどうかは、分からない」




私の火柱を飲み込んだ水を、新たな火魔法で熱して、風魔法をぶつける。

カウンターの熱湯だ。


隠蔽魔法を感知したと同時に、風で浮いて熱湯を避けた蠱惑が視界に映った。