白の姫に差し伸べられた、光と闇の手





「私は千化の下で働く、殺し屋氷霞」


「あらどうも、あたしは蠱惑(こわく)よ。って、あなたも殺し屋だったのね。まぁ、隠蔽魔法に気付くなんて普通じゃないか」


來樺院(らいかいん)獅紋(しもん)の暗殺任務は、私が請け負った。あなたも同じ依頼を受けたのは理解している。だけど、ここは引いて欲しい」




対話を望めそうな相手なので、まずは口頭で引くよう促してみる。

殺し屋蠱惑(こわく)は、顎に人差し指を当てて考え込んだ。




「あのクソオヤジ、他の殺し屋にも依頼してたのね。どうしてやろうかしら……あぁ、あなたの言いたいことは分かったわ。でもねぇ……あなたいくつ?」


「……15」


「やだ、妹より年下じゃない。こんな子が殺し屋だなんて、嫌な世の中だわぁ。まぁ、人様の事情に口は出さないけど……結論から言うと、お断りよ」


「そう……どうしても引く気は無い?」




念を押して聞くと、蠱惑は艶やかに笑った。