「また、魔法を使った。今度は何の魔法?」
俯いた入月織江から、また反応があった。
何をしたかったのかは分かる。
口封じだろう。
感知と同時に体の周りで風を吹かせたから、不可視の攻撃は防げた。
「やだわぁ、本当。他の子に手を出すつもりは無かったんだけど……」
独り言のように呟いて、彼女は雰囲気を変える。
長い髪を耳にかけて、顔を上げた入月織江、になりすましている者は、大人っぽく、妖艶に笑った。
「全部、忘れてくれる?」
「断る。獅紋は私の獲物」
「……獲物?」
殺し屋は、きょとんと目を丸くして私を見る。
本性も出せたし、ようやく話ができそうだ。



