意識して口角を上げ、手を差し出すと、類家胡桃は緊張した様子で握手に応じた。
Sクラスは成績優秀者が集められると聞いただけあって、彼女の内包魔力量はなかなかのものだ。
エリート学園の中のエリートは侮れない。
「寮の案内は放課後に改めて。事前に送られてきた荷物と、学園側で用意した教材や制服は部屋に置いてあります。類家さん、職員室までの案内はお願いしますね」
「わ、分かりました」
「それでは、また後程」
「はい」
軽く頭を下げて寮監を見送り、部屋に入る。
靴の履き替えは寮の玄関で行っているので、ここでは必要無い。
類家胡桃はおどおどした様子で、私と目が合うと慌てたように口を開いた。
「え、えぇと、黒塚さんのお部屋はあちらです。ここは共同部分なので、お好きなように過ごしてください」
「分かった」



