白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



言葉に合わせて、入月織江の瞳は琥珀色から青色に変わる。

しかし、校舎裏に着いた時発動しておいた魔法に、反応があった。




「……変なの。魔法を解除するだけでいいはずなのに、どうして今魔法を使ったの?」


「え……?」




入月織江の瞳が揺らぐ。

表情まで動揺を露わにしないのは、流石の演技力だ。



殺し屋は、魔力反応を隠す為に隠蔽魔法を併用して魔法を使う。

けれど、往々にして、何かを隠す技術があるなら、それを暴く技術が生まれるもの。


私が使ったのは、隠蔽魔法を感知することに特化した魔法だ。

これには効果範囲があるけれど、向かい合って話すだけなら、十分事足りる。




「あぁ、そっか。本当は、白蓬李璃ですらないんだ。婚約者の振りをして、獅紋に近付いて……その後は、どうするつもりだったの? 寝首でも搔くつもり?」


「……」