白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



人目があるからか、逆に堂々と耳打ちしてきた翠笑と視線を交わして、ほくそ笑む。


――ようやく、しっぽを掴んだ。



行動は、3時間目の後の休み時間に起こした。

翠笑は獅紋の傍に、私はグラウンドで体育の授業を終えた入月織江の元に行く。




「入月織江。話があるから、着いて来て」


「え? あ、あなたは……」


「前に第2図書室で会った。黒塚瑠璃。よろしく」




体操服姿の入月織江に話しかけると、彼女は私を見て動揺した。

それが演技かどうかは分からないけど、人に聞かれたくない話をするのにちょうどいい校舎裏へ、彼女を連れて行く。




「……眼鏡、外したら? 白蓬李璃」




歩いて来た足を止めて振り返ると、入月織江は目を丸くして、困ったような顔をした。