私と一緒にスマートフォンの画面を見た胡桃は、眉根を寄せて考え込む。
同じ画面に映る獅紋は、別人のように優しく微笑んでいて、私の胸はツキ、と痛んだ。
「眼鏡の魔法具を使ってるんだと思う」
「眼鏡の? ……あぁ、オシャレ眼鏡ですね。……いえ、でも入月さんは眼鏡を外した時も琥珀色の目で……」
「! それ、本当?」
「は、はい。体育で着替える時などは、眼鏡を外しますから……目の色が変わったら、話題になるはずです」
予想外の情報源から、重要な情報を得て、画面の中の入月織江を見つめる。
――彼女には、裏がある。
その後、獅紋と入月織江の密会が終わり、2人が植物園から出て行くのを手鏡で見ていると、ふと思い出した。
あの後ろ姿。
背中の中程まである黒髪。
私が学園に来た初日……食堂でぶつかった、足音がしない女子生徒と同じだ。



