白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



背丈は私と同じくらいだろうか。

胸の下まである髪は黒いが、慌てたように掛けた眼鏡の奥の瞳は琥珀色だった。


青目じゃなければ獅紋は反応しないはず。

どういうことだろう。




「あ、あぁ……先生に用事を頼まれて。黒塚は、何をしに?」




じっくり観察する前に、獅紋が女子を隠すように立ち位置を変えて、私に質問をした。

普段なら私が何をしに来たかなんて気にしないだろうに、白蓬李璃と再会してある程度心にゆとりができたようだ。




「面白い本があるって聞いたから、見に来た。……邪魔だった?」


「いや。彼女が眼鏡を落としたから、拾ってあげていただけだ」


「そう。白蓬李璃?」


「「っ!」」




確認の為に名前を出して、獅紋の後ろの女子を覗き込む。

動揺して泳ぐその目はやはり琥珀色だ。