「223号室、ここが黒塚さんのお部屋です。学生証をカードリーダーにかざせばロックが解除されます。オートロックなので室内に学生証を忘れないよう気をつけてくださいね」
「はい」
ボスに新たな任務を命じられてから1週間。
私は黒塚瑠璃として、さくら魔法学園の女子寮に訪れていた。
寮監の女性に案内され、年度末までの残り4ヶ月を過ごす部屋の前に来ると、不自然にならない程度に周囲を観察する。
白い壁、ベージュの床、ライトブラウンの扉。
廊下は両手を広げても余裕がある広さで、突き当たりには観葉植物と窓がある。
私の部屋、223号室は2階の角部屋らしい。
寮監は扉をノックして、ドアノブ上部のカードリーダーに銀色のカードをかざす。
あれはマスターキーだろうか。