「李璃? 本当に、李璃なのか?」
「ぇ……?」
思わず声が漏れて、片手で口を塞ぐ。
扉にかけた手を動かせず、私は廊下に立ち尽くしたまま耳を澄ませた。
「ち、ちが……わ、私の名前は、入月織江です。白蓬李璃とは別人で……」
「嘘を吐かないでくれ。ずっと捜していたんだ。生きていてくれて、本当によかった……!」
「っ……獅紋、くん…………心配かけて、ごめんね……」
扉を隔てた向こう側で、獅紋と白蓬李璃が再会している。
それは、あの休日に私自身が望んだことなのに……何故か、胸が締め付けられた。
頭が真っ白になる自分を叱咤して、扉から手を離す。
今、第2図書室に入るのは悪手だ。



