Side:氷霞(ひょうか)(黒塚瑠璃)


休日も過ぎ、さくら魔法学園に来てから今日で丸々1週間が経った。

私に課せられた任務の期限は1ヶ月、残り3週間で獅紋(しもん)と恋仲にならなければいけない。

あまり他のことに気を取られている暇はないのだけど……。




「ちょっと、聞いてんの? 土曜日、來樺院(らいかいん)くんと2人で何してたのかって!」


「……聞いてる。答える必要性を感じなかっただけ」


「何なのこの女、本当に生意気なんだけど……」




休み時間、一般クラスの男子生徒に呼び出され、“2人きりで話がしたい”と談話室に連れてこられたのが数分前のこと。


私は今、獅紋に恋情を抱いているらしい女子生徒数人に詰め寄られている。

内訳は、先週胡桃(くるみ)に絡んでいた女子数人と新顔数人だ。


呼び出し役の男子生徒はもう帰った。