私達の返事を聞いたボスはシルクハットのつばを摘んで、口元に笑みを浮かべた。
「俺は忙しいからもう行く。じゃあな、俺の可愛い子供達。次はちゃんと死んだことを確認するように」
そう言い残して、ボスは前触れも無く突然姿を消した。
一瞬前まで目の前にいたのに、瞬きの合間にいなくなっているこの現象には何年経っても慣れない。
何属性の魔法を使っているのかも謎だ。
「はぁ、ボスってほんと神出鬼没だよね~。いつ来たのか全然分からなかったし。どこから見てたんだか」
「うん……私達も帰るよ」
「ハイハ~イ。予定より長居しちゃったね」
ニコニコ笑う翠笑と一緒に、会議室から歩いて出る。
この後は人目を盗んで1階に降り、ビルの正面玄関から普通に帰るだけだ。
新しい任務……気を引き締めて頑張ろう。