白蓬李璃を捜索している間は、いつもより獅紋の表情が変化して、こちらを気遣っているのが顔で分かった。
何というか、やさぐれた雰囲気に反して優しい男子だ。
学園での言動や行動も、思えば紳士的だったし。
獅紋への認識を改めていると、くいっと、後ろから服を引っ張られるような感覚がした。
「おねえちゃん……」
振り向けば、幼い女の子が瞳に涙を溜めて私を見上げている。
こんなことは初めてだ。
「え、と……何?」
「おかね、おとしちゃって……あそこ、とれなくなっちゃったの……」
今にも泣きそうな声で言われて、あそこ、と指さされた自動販売機を見る。
あの下にお金が入り込んでしまったのだろうか。



