白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



心臓が潰れそうなほどに、胸が締め付けられて、苦しくて。

近付いてはいけないと、気を許してはいけないと分かっているのに、止まらない。


――私はいつか、獅紋を殺さなければいけないのに。




「……ありがとう」


「っ……私に、お礼なんて必要無い」




獅紋から顔を背けて、私は拳を硬く握った。




それからの捜索には、積極的に協力した。

獅紋を殺すまでの1ヶ月間……否、残り3週間で、せめて白蓬李璃に会わせてあげたいと、そう思って。




「黒塚。手伝ってくれるのはありがたいが……本当に1日中付き合うつもりか?」


「うん。大丈夫、今日は暇だから」




歩き回って聞き込みをしている間にお昼になり、飲食できる近場のお店を探しながら、そんな話をする。