白の姫に差し伸べられた、光と闇の手



來樺院獅紋は悲しんでいるような、苦しんでいるような、怒っているような、複雑な感情が窺える目をしていた。




「俺は……李璃の死体をこの目で見るまでは、絶対に諦めないと決めたんだ。だから、何年経っても、俺だけは李璃を捜し続ける」


「……」


「それに……今この瞬間も、李璃がどこかで泣いているかもしれないと考えたら、いてもたってもいられなくて」




ぐっと拳を握る來樺院獅紋を見て、分かってしまった。

普段彼が覇気の無い雰囲気を纏っているのは、白蓬李璃のことを想って、無力な自分を呪っているから。


來樺院獅紋は周りに無関心な、クールな人間では無く……ただ余裕が無くて、周りが見えていないだけの、年相応の少年だ。




「……見つかると、いいね」




真っ直ぐな“獅紋”の情熱にあてられて、そんな言葉を口にする。