声を掛ける相手は、ラフな格好をした若者だったり、公園のベンチに座っている老人だったり、個人経営の喫茶店の主人だったり、様々だ。
ただ、手当たり次第というわけでは無いので、一定の基準があるのだろう。
「この絵の女の子に、見覚えはありませんか?」
「あぁ、あるよ。ほれ、隣の子じゃろう。黒い髪に青い目で」
「ううん。私より、愛想がいい」
「そうかい? 瓜二つだと思うがねぇ」
1人、そんなことを言った老婆がいたけど、聞き込みでは特に情報が出てこなかった。
來樺院獅紋はエリアを変えてまた聞き込みをすると言うので、私は移動中に似顔絵について聞いてみる。
「その絵、どうやって用意したの?」
「絵描きに依頼したんだ。おばさま……白蓬夫人と当主様の写真を見せて、成長した姿を予想して描いてもらった」



